球種の違いまとめ:MLB公式14球種とNPBの分類の違い
2026-04-08
球種の分類方法はMLBとNPBで全く違う
野球の球種は「ストレート」「カーブ」「スライダー」など多くの名前がありますが、実はその分類方法はMLBとNPBで大きく異なります。
MLBの球種分類
公式14球種
MLB公式用語集(Glossary)には以下の14種類が定義されています。
- FF = Four-Seam Fastball(フォーシーム)
- SI = Sinker(シンカー)※ツーシームを含む
- FC = Cutter(カッター)
- SL = Slider(スライダー)
- ST = Sweeper(スウィーパー)
- CU = Curveball(カーブ)
- CH = Changeup(チェンジアップ)
- FO = Forkball(フォーク)
- FS = Splitter(スプリッター)
- KN = Knuckleball(ナックルボール)
- KC = Knuckle-curve(ナックルカーブ)
- SC = Screwball(スクリューボール)
- SV = Slurve(スラーブ)
- EP = Eephus(イーファス)
出典: https://www.mlb.com/glossary/pitch-types
Statcastによる機械的分類
MLBではStatcast(高精度トラッキングシステム)が全投球の球速・回転数・回転軸・変化量を計測しており、これらのデータに基づいて機械的に球種が分類されます。投手が「スライダーのつもりで投げた」球でも、データ上の特徴がカッターに近ければカッターに分類されることがあります。
この分類は随時更新されており、例えばスウィーパー(ST)は2023年頃に新たに追加された比較的新しい分類です。
大分類
14球種はさらに3つのグループに分けられます。
- Fastball(速球系): フォーシーム、シンカー、カッター
- Breaking(変化球系): スライダー、スウィーパー、カーブ、ナックルカーブ、スラーブ
- Offspeed(緩急系): チェンジアップ、スプリッター、フォーク
NPBの球種分類
データスタジアム社による独自分類
テレビ中継や1球速報で表示される球種データは、データスタジアム社が独自に分類したものです。同社は機械によるトラッキングデータに加え、投手の握りや報道の情報などを総合的に判断し、独自にラベリングを行っています。
2015年のプレスリリースでは「基本的な9球種を細分化し、20種類以上の球種に対応」と発表されており、スライダーやカーブもより細かく分類されています。ただし、この9球種や20種類以上の具体的な内訳は、公開された資料の中では確認できませんでした。
MLBのようにNPB機構自体が球種分類を定義しているわけではなく、データ配信会社が独自に分類しているという点が大きな違いです。
日本独自の球種名
日本では以下のような、MLBの公式14球種に含まれない球種名が広く使われています。
- シュート: MLBではシンカー(SI)に含まれることが多い
- スローカーブ: MLBではカーブ(CU)の一種
- 高速スライダー/縦スライダー: MLBではスライダー(SL)に含まれる
- SFF: MLBではスプリッター(FS)に該当
両者の違いのポイント
分類の方法が根本的に違う
- MLB: Statcastのトラッキングデータに基づく機械的分類。客観的だが、投手の意図とは異なる分類になることがある
- NPB: データスタジアム社による人間の判断+報道情報。投手の申告や握りの情報も考慮されるため、同じ軌道でも投手によって分類が変わりうる
「シンカー」問題
最も混乱を招くのがシンカーです。MLBのSinker(SI)はツーシームとほぼ同義の速球系の球種ですが、日本で「シンカー」というと高津臣吾投手のような大きく沈む変化球を指します。同じ名前が全く別の球種を意味するため、海外の野球情報を読む際には注意が必要です。
「スプリット」問題
日本では「スプリット」という言葉が2つの意味で使われます。(1)SFF(Split-Finger Fastball)の略称として「速いフォーク」を指す場合と、(2)フォーク全般の英語名(Splitter)として使う場合です。MLBでは Forkball(FO)と Splitter(FS)は別分類として定義されています。
似ている球種の違い
球種の中には名前や変化が似ていて混同しやすいものがあります。以下のコラムで詳しく比較しています。