ツーシーム・シンカー・スクリューの違いを整理する
2026-04-10
3つの球種の関係
ツーシーム、シンカー、スクリュー。この3つはいずれも投手の利き腕方向に変化しながら沈む球種で、互いに関連があります。しかし日本とMLBで言葉の意味が異なる部分があり、非常に混乱しやすいです。この記事では3球種の関係を整理します。
まず結論:対応関係
- MLBのSinker(SI) ≒ ツーシーム (速球系、ほぼ同じもの)
- 日本のシンカー ≒ スクリュー (変化球系、MLBのSinkerとは別物)
この対応関係を押さえておけば、大部分の混乱は解消されます。
ツーシームとMLBのシンカー
ほぼ同じもの
MLBのSinker(SI)とツーシーム(Two-seam Fastball)は、Statcastでは同じSIカテゴリに分類されています。データ上、両者の挙動(球速・回転数・変化量)を区別するのが難しいためです。
MLB公式の用語集でもシンカーの説明に「ツーシームとも呼ばれる」と記載されています。
共通する特徴
- 分類: 速球系(Fastball)
- 球速: フォーシームに近い(140-150km/h)
- 変化: 利き腕方向にわずかに動きながら沈む
- 目的: ゴロを打たせる
あえて違いを挙げるなら、横方向の動きが主ならツーシーム、縦の沈みが主ならシンカーと呼ばれる傾向がありますが、その境界は連続的で明確な線引きはできません。
日本のシンカーとMLBのシンカーは別物
ここが最大の混乱ポイント
日本で「シンカー」というと、高津臣吾投手のようなサイドスローやアンダースローから投げる大きく沈む変化球をイメージする人が多いと思います。しかしこれはMLBのSinker(SI)とは全く別の球種です。
比較
- MLBのSinker: 速球系。フォーシームに近い球速(145km/h前後)でわずかに沈む。ツーシームとほぼ同義
- 日本のシンカー: 変化球系。球速が遅く(120-135km/h程度)、大きくシュート方向に曲がりながら沈む
同じ「シンカー」という名前が、日本とMLBで全く異なる球種を指しています。
日本のシンカーとスクリュー
投手の左右で呼び分ける慣習
日本のシンカー(変化球としてのシンカー)とスクリューの違いについては、諸説あります。
日本の野球ファンの間では「右投手ならシンカー、左投手ならスクリュー」という呼び分けが広く浸透しています。この区別はパワフルプロ野球(パワプロ)シリーズの影響もあるとされています。ただし実際のプロ野球では左投手でもシンカーと呼ぶケースは普通にあり、厳密な使い分けではありません。
MLBでのスクリューボール
MLBでは「Screwball(SC)」は公式14球種の一つとして定義されています。カーブと逆方向の回転をかけた変化球で、カール・ハッベルやフェルナンド・バレンズエラが伝説的な使い手として知られています。
ただし現代のMLBではスクリューボールを投げる投手はほぼいません。肘への負担が大きいことが主な理由で、同じ役割はチェンジアップが担うようになっています。
日本のシンカーはMLBのスクリューに近い
日本のシンカー(変化球系)はMLBの球種分類で言えば、Sinker(SI)よりもScrewball(SC)に近いとされています。利き腕方向に大きく曲がりながら沈むという特徴が一致するためです。
まとめ
- ツーシーム ≒ MLBのSinker(SI): 速球系。Statcastでは同じ分類。ほぼ同じもの
- 日本のシンカー ≒ スクリュー(SC): 変化球系。MLBのSinkerとは別物。左右の投手で呼び分ける慣習がある
- スクリューボール: MLB公式14球種の一つだが、現代ではほぼ消滅。チェンジアップに役割を譲った
「シンカー」という言葉がMLBと日本で全く異なる球種を指すため、海外の野球情報を読む際にはどちらのシンカーの話をしているか注意が必要です。